2025年5月25日~6月8日にわたってフランスのパリで開催される、全仏オープン2025に関して記します。
ドロー
トップハーフは第1シードのヤニク・シナー選手と第3シードのアレクサンダー・ズべレフ選手の山、ボトムハーフは第2シードのカルロス・アルカラス選手と第4シードのテイラー・フリッツ選手の山となりました。
まず、トップハーフのシナー山から見ていきます。

シナー山はヤニク・シナー選手が、シナー選手を止められるのはアルカラス選手しかいないのではと言われるほど圧倒的な強さを誇っており、この山はおそらくシナー選手が勝ち上がるでしょう。シナー選手は前哨戦であるローマオープンで、クレーコートを得意としており、かつ直近でも優勝していたキャスパー・ルード選手を6-0, 6-1と圧倒しています。
シナー選手のフォアの平均速度は134km/hであり、ほぼ全球バコ打ちです。繋ぎのスライスやらで凌ごうものなら、前に踏み込んできてウィナーを取られてしまいます。このシナー選手に勝つには、アルカラス選手がやっていたようにシナー選手が苦手とするバックハンド側の高めのボールを打ったり、ループボールやドロップショットで攪乱するしかないでしょう。
一方で、そんな好調なシナー選手を止める可能性がある若手も最近は出てきております。第5シードのジャック・ドレーパー選手や第14シードのアルトゥール・フィス選手、第19シードのヤクプ・メンシーク選手、ノーシードのジョアン・フォンセカ選手は成長が著しく、注目すべき選手たちです。
次にトップハーフのズべレフ山です。

アレクサンダー・ズべレフ選手は初戦でいきなり、今年の全豪オープンで当時第5シードだったダニール・メドベージェフ選手などを下して4回戦まで進出した期待の若手、ラーナー・ティエン選手と激突します。
ズべレフ選手は前哨戦であるマドリードオープンでは3回戦敗退、ハンブルクオープンでは2回戦敗退と調子を落としており、初戦から厳しい試合となるでしょう。
近年はツアーでの優勝から遠ざかっている第6シードのノヴァク・ジョコビッチ選手は、直近でアンディ・マレーコーチとの契約を解消しました。同じく調子を落としているジョコビッチ選手ですが、経験豊富でピーキングに長けたジョコビッチ選手がどこまで調子を戻してくるか見ものです。
他に注目すべき選手としては、前哨戦であるマドリードオープンでズべレフ選手を破った、第18シードのフランシスコ・セルンドロ選手と、前哨戦であるイタリアンオープンでホルガー・ルーネ選手を破った地元フランスのコランタン・ムーテ選手でしょう。セルンドロ選手はクレーコートを得意としており、侮れません。
この山は、シナー山とは対照的に誰が勝ち上がってくるか読みにくい山です。
次にボトムハーフのフリッツ山を見ていきます。

最近絶好調の第8シードのロレンツォ・ムゼッティ選手は大注目です。ムゼッティ選手は前哨戦であるモンテカルロマスターズでデミノー選手やチチパス選手を破って準優勝、マドリードオープンでもデミノー選手やチチパス選手にまたもや勝利してベスト4、イタリアンオープンではメドベージェフ選手やズべレフ選手に勝利してベスト4と、いづれも大会後半まで勝ち上がっています。
他には第4シードのテイラー・フリッツ選手、第10シードのホルガー・ルーネ選手、第21シードのトマーシュ・マハーチ選手、第32シードのアレックス・ミケルセン選手、フランシスコ・コメサナ選手なども要注目の選手たちです。
最後にボトムハーフのアルカラス山です。

第2シードのカルロス・アルカラス選手は初戦で錦織圭選手と激突します。(→2025年5月24日に、錦織圭選手は全仏オープンを欠場することが発表されました。アルカラス選手の初戦の相手は、予選勝者のジュリオ・ゼッピオリ選手に決定しました。)この対戦カードは楽しみですね。錦織選手は前哨戦であるジュネーブオープンで、期待の若手であるラーナー・ティエン選手に勝利しています。一方でハチャノフ選手との2回戦を腰痛で棄権しているので、コンディションに若干不安は残ります。
一方のアルカラス選手は前哨戦のローマオープンでシナー選手を下して優勝するなど、絶好調な様子です。優勝候補の最右翼であるアルカラス選手に、錦織選手がどのようなプレーをするのか注目です。
その他にも第7シードのキャスパー・ルード選手や第12シードのトミー・ポール選手はクレーコートを得意としており、アルカラス選手にとっても難敵となり得るでしょう。