プロフィール
ラファエル・ナダル選手は、1986年生まれのスペイン出身のテニス選手です。
2001年にわずか15歳でプロデビューを果たし、2024年の11月19日のデビス・カップ(以下、デ杯)を最後に引退するまで、非常に長い期間にわたってテニス界を牽引し、以下の輝かしい実績を残しました。
- グランドスラム優勝22回(決勝進出30回)
- 全仏オープン優勝14回(初優勝時はわずか18歳)
- オリンピック金メダル2回
- シングルス1080勝(優勝92回(内、クレーでの優勝63回) / ATPマスターズ1000優勝36回)
- 世界ランク1位在位209週(年間最終ランキング1位を5回)
- トップ10連続在位912週
左利きであり、プレースタイルはディフェンシブ・ベースライナーです。
強さの秘密
ナダル選手の武器は、①サーブを主軸としたサービスゲームの組み立て、②トップスピンのかかったフォアハンド、③フットワーク、④ゲームプランを状況に応じて柔軟に変更できるテニスIQの高さと、それを可能にする自制心から来る冷静さ、です。
意外に思われるかもしれませんが、キャリア中盤からはサーブもナダル選手の大きな武器です。
左利きであるナダル選手のデュースコートのダウンザT字のファーストサーブは、正確でパワフル、そして右利きの相手にはラケットを当てることさえできないような角度がついています。アドコートでは、ワイドサーブを使い、同じような効果を上げている。サービスゲームでは決定的な強さを発揮しています。甘く返ってきたリターンに対して、バックハンドに回り込んでフォアハンドでウィナーを決める「3球攻撃」でポイントを取ることも多いです。サーブ単体だけでなく、サーブを主軸としたサービスゲームでのポイントの取り方という視点で見れば、ナダル選手のサービスゲームは非常に組み立てが上手です。
そしてサービスゲームの止めで使う強力なフォアハンドは、中盤のラリーでも効果的です。トップスピンがかかっているので、ダウン・ザ・ラインやインサイド・アウトに打ち分け、コートのどこからでもウィナーを狙えます。相手選手が素晴らしいアプローチショットを決めても、それをナダル選手がフォアハンド・バックハンド問わずどちらからでも、またコートのどこからでもパッシングショットでウィナーを決める場面は、キャリアの中で何度も目にした光景です。
また、ナダル選手はクレーコートを最も得意としており、コートカバーリング能力が非常に高いです。次の動画「Rafael Nadal: Top100 ATP Shots!」の32:58~の8位のショットや、36:25~の1位のショットは特にナダル選手のフットワークの凄まじさがよくわかります。
このように、他の選手だったら返ってこないボールでも、ナダル選手は1球も2球も多く返してくるため、対戦相手からしたら戦いたくない相手ではあるでしょう。
ナダル選手はテニスIQも高く、プレー中も状況によってゲームプランを柔軟に変更できるほど冷静です。これはナダル選手の「物事をはっきりとフラットに見ることができる」という類まれなる才能によるものでしょう。その証拠に、2017年の全米オープン準決勝のデルポトロ選手との試合では、途中でゲームプランを変更していることがわかります。
2024年
ブリスベン国際の対ドミニク・ティーム戦が復帰戦となり、見事7-5, 6-1のストレートで勝利します。
ところが、3回戦のジョーダン・トンプソン選手との試合中に左脚を負傷し、逆転負けを喫します。この怪我により、同月開催の全豪オープンの欠場を発表します。
2024年10月10日、ナダル選手が2024年11月19日に開幕するデ杯(国別対抗戦)をもって現役を引退することを発表しました。
そして11月19日のデ杯、対オランダ戦のS1(シングルス1)で出場したナダル選手ですが、ボーティック・ファン・デ・ザンスフルプ選手に4-6, 4-6でのストレートで敗れます。
続くS2はカルロス・アルカラス選手が勝利をもぎ取るものの、D1(ダブルス1)でスペインがオランダに敗れたことで、スペインのデ杯は終了となり、ザンスフルプ選手がナダル選手の現役最後の公式戦の相手となりました。
2023年
2023年は、またもや怪我に悩まされたシーズンでした。
全豪オープンでは2回戦でマッケンジー・マクドナルド選手ストレートで敗退。ナダル選手が同大会で2回戦で姿を消したのは初めてでした。試合後の検査で股関節の負傷が判明し、長期離脱をすることとなります。3月20日付けの世界ランキングでは13位となり、18年ぶりにトップ10陥落となります。
そして史上初の全仏オープン欠場と来季限りでの引退を示唆したことで、テニス界に衝撃が走ります。6月12日付けの世界ランキングでは136位となり、20年以上ぶりのトップ100陥落となります。