テニスのウィンブルドン選手権が6月27日から7月10日までイギリス・ロンドンにて開催されています。
今回はウィンブルドン男子シングルスのドローを見ていきます。
ウィンブルドン準決勝でフリッツ選手を下し、キリオス選手との決勝に進出したナダル選手。
しかし、今朝ナダル選手が棄権というニュースが飛び込んできました。
ナダル選手が全英決勝を棄権
ナダル選手は、準決勝で腹部の怪我を悪化させてウィンブルドンの決勝を棄権することを発表しました。
怪我の状況
ナダル選手の腹筋には0.7cmもの断裂があるとのことです。
参考までに、2009年全米オープンのデルポトロ選手に敗北した際も腹部断裂の症状がありました。その頃は、試合前は0.6cmの断裂があり、試合後は2.6cmまで傷が開いてしまいました。
また、2021年全豪オープンにてジョコビッチ選手も同様の腹部断裂の怪我を抱えていました。決勝前のジョコビッチ選手は1.7cmの断裂があり、試合後には2.5cmまで開き、症状が悪化しました。
今回のナダル選手の断裂は、2009年に発症したときよりも大きな断裂です。棄権も止む無しというところでしょう。
まとめ
今シーズンの全豪オープン、全仏オープンでタイトルを獲得したナダル選手。前人未踏の年間グランドスラムがかかっていただけに、今回の棄権は非常に残念です。
キリオス選手との対決も楽しみにしていました。しかし、ナダル選手の怪我の状況は深刻で、準決勝をフルセットの末に勝利したのも奇跡と言えるくらい、ナダル選手の身体はボロボロです。
早期の回復、そして再びツアーでナダル選手の元気な姿が見られることを祈ってます。
今回は、ベテランでビッグ3の一角であるジョコビッチ選手と、ダークホースのライトーフェン選手の試合を見ていきます。
試合前のコンディション
ジョコビッチ選手は、3回戦でケクマノビッチ選手を圧倒しました。試合を見る限り、らしくないミスも散見されるので本調子ではないですが、徐々に調子を上げてきています。
一方のライトーフェン選手は昨シーズンまでは無名の選手でした。しかし、今年の6月に開催されたATP250「リベマ・オープン」にて、世界ランクNo.2のメドベージェフ選手を下してツアー初優勝を飾っています。今大会でも2回戦で第15シードのオペルカ選手、3回戦で第22シードのバシラシビリ選手を倒すなど、勢いがあります。
試合内容
試合は序盤から動きがありました。第2ゲーム、ライトーフェン選手のサービスゲームにて、ジョコビッチ選手が鉄壁のディフェンスで粘ってプレッシャーをかけていきます。ライトーフェン選手は一度はゲームポイントを握ったものの、ジョコビッチ選手にブレークを許します。
直後の第3ゲーム、ライトーフェン選手は2本のブレークポイントを迎えますが、あと1本が奪えません。 思うようにブレークチャンスをモノにできないライトーフェン選手ですが、徐々にジョコビッチ選手のペースにも慣れてきたのでしょうか。第4ゲーム、第6ゲームではサーブから良い展開を作り、共にラブゲームでキープします。
ジョコビッチ選手のサービスゲームである第7ゲーム、30-40とライトーフェン選手にチャンスがやって来ます。しかし、ここでもあと1本が取り切れません。逆に次の第8ゲームでサービスを破られ、ジョコビッチ選手が6-2でセットを先取します。
第2セット序盤は、両選手のキープ合戦となります。先にチャンスをつくったのはライトーフェン選手。第7ゲーム、デュースでドロップショットを決めてブレークポイントを迎えると、激しい打ち合いからネットに出て、スマッシュを決め、ブレークに成功します。そのままライトーフェン選手がリードを保って5-4でサービング・フォー・ザ・セットを迎えると、4度のブレークポイントを凌いで第2セットを取りました。
しかし、第3セットでライトーフェン選手は失速します。ジョコビッチ選手が2ブレークアップで6-1で第3セットを奪います。
ジョコビッチ選手の勢いは止まりません。第4セット第1ゲームでも、ジョコビッチ選手がいきなりブレークに成功。その後、ライトーフェン選手はなんとかキープを続けるも、第7ゲームでミスが出てしまい、2ブレークダウンとします。ジョコビッチ選手の5-2で迎えたサービング・フォー・ザ・マッチで勢いそのまま6-2でジョコビッチ選手が取り、4大会連続13度目の準々決勝進出を決めました。
試合後インタビュー
ジョコビッチ選手は初対戦となったライトーフェン選手に対して、次のように語っています。
「本当にタフな試合だったよ。ニューフェイスで前哨戦にも勝っている彼との試合だから、簡単な試合になるとは思っていなかった。サーブもよくて、素晴らしいタッチとかなり良いフォアハンドも持っている才能ある選手。そのペースに慣れるのが大変だった」
初対戦となり、第2セットこそライトーフェン選手に流れを持っていかれたジョコビッチ選手。しかし、そこからの立て直しは見事でした。
今回は経験のあるジョコビッチ選手が勝利しましたが、勢いあるライトーフェン選手の今後に目が離せません。
両者ともに期待の若手ということで、大注目の一戦となったシナー選手 vs アルカラス選手。
今回はこの2人の対決について見ていきます。
試合前コンディション
両者は昨年11月の「ロレックス・パリ・マスターズ」の2回戦で1度対戦しており、この時はアルカラス選手がストレートで勝利していました。
しかし今回はアルカラス選手が得意としていない芝での対決。
どちらが勝つのか全く分からない注目の好カードです。
試合内容
リベンジに挑むシナーが試合序盤から度々強烈なリターンを叩きこむなど素晴らしいプレーを披露。第1セット、第4ゲームでシナーの鋭いリターンにアルカラスは押し込まれ、自分のペースでラリーが作れない。シナーがワンチャンスを生かし、最初のブレークに成功する。さらに、第6ゲームでサーブコースを読んでいるのか、シナーはコースを突いたリターンでアルカラスに窮屈なストロークを強いて、2度目のブレーク。第3ゲームから5ゲームを連取して6-1で第1セットを奪う。
これで勢いに乗ったシナーは第2セットも第1ゲームで早々にブレークを奪い、リードを奪うシナー。アルカラスとの激しいラリー戦で一歩も引かず、サービスキープを続けて第2セットも6-4で奪いきる。
だが、第3セットではなんとか一矢報いたいアルカラスがプレーの質、ここ一番での勝負強さを見せてシナーはブレークできない。両者一歩も譲らないままタイブレークに突入。タイブレークでは、激しいストロークの打ち合いの中で、先にシナーがドロップショットをミス。6-3と先にアルカラスがセットポイントを握った。
それでもシナーはこのセットで試合を決めようと粘って2度のマッチポイントを握ったが、アルカラスの勢いが勝った。8-8の場面で柔らかなタッチでハーフボレーを決めて、9-8とすると最後はシナーのバックハンドがアウトに。アルカラスが土壇場で踏みとどまった。
これで勢いが出たか、第4セット立ち上がりからアルカラスが怒濤の攻撃を見せる。だが、シナーも第1、第3ゲームの苦しい場面を耐えると、第4ゲームでアルカラスのミスが続き、ダブルフォールトで先にブレークする。直後のゲームでは0-40とピンチを迎えたが、決して下がることなく攻め抜いたシナー。
このゲームを守り切って息を吹き返すと、5-2のリターンゲームでは3度のマッチポイントをしのがれたが、サービング・フォー・ザ・マッチとなった第9ゲームで6度目のマッチポイントをものにし、3時間35分にも及ぶ激戦に終止符を打ち、ウィンブルドンで初めてベスト8入りを果たした。
試合後インタビュー
聖地ウインブルドンで自身3度目となるグランドスラム8強入りを決めた20歳は「芝ではあまりいいプレーができていなかった」ことから、大会開幕前は「あまり自分には期待していなかった」という。 そんな中で「試合を重ねるごとに良くなっている」と自身の成長を喜んだシナーは「このウインブルドンで初戦を突破し、そして今は準々決勝に進出したんだ。今日の試合では自分自身で適応しようとしたし、観客の声援も助けてくれたと思う。自分のプレーに満足しているし、次のラウンドに進出できてとてもうれしいよ」と納得の表情を浮かべながらコメントした。 「とてもいい人で、非常にタフな相手だ」と称しました。
今回はセルビア出身の選手同士の対決である、ジョコビッチ選手 vs ケクマノビッチ選手の試合を見ていきます。
ウィンブルドン第3回戦、キリオス選手 vs チチパス選手は好カードですね。
3回戦で見るのは惜しい組み合わせで、現地ではセンターコートで行われたナダル選手 vs ソネゴ選手よりも、キリオス選手 vs チチパス選手の試合の方が人気が高く、「今日のセンターコートのチケットは外れだ」という声もあったとか。
今回は、それほど注目度の高いキリオス選手 vs チチパス選手の組み合わせを見ていきましょう。
試合前のコンディション
キリオス選手は、今季トップ10の選手から3勝を挙げています。
今年の芝シーズンは、2大会でベスト4に入っており、好調です。
一方のチチパス選手は、前哨戦ATP250マヨルカ大会で芝コート初のタイトルを獲得しており、現在勢いに乗っています。ウィンブルドンでは第4シードで臨みます。
2人の前回の対決は、前哨戦のATP500ハレ大会2回戦。このときは5-7、6-2、6-4のフルセットでキリオス選手が逆転勝利してます。
試合内容
第1セット、サーブを軸にテンポ良くサービスキープを続けるキリオスに対し、チチパスは4度のピンチを招くも、要所でサーブを決めて、すべて守り切る。互いにサービスキープが続き、タイブレークに突入。その中、チチパスは3-2でサーブ&ボレーに出てきたキリオスの横をきれいに抜くリターンウィナーを放って4-2とリードする。さらに、ミニブレークを重ねて7-2。拮抗した試合展開の中、チチパスが第1セットを取りきった。 続く
第2セットも互いに一歩も譲らずサービスキープ。このまま再びタイブレークに持ち込まれるかと思われたが、第2セット第10ゲームでチチパスがスマッシュを決めきれず、キリオスがウィナーを決めて、6-4でセットを奪い返す。
これにいら立ちを見せたチチパスは、観客席にボールを放ち警告を受ける。だが、チチパスが放ったボールはライナー性でかなりのスピードが出ていた。キリオスは失格に値するのではと、スーパーバイザーまで呼んで抗議したが判定は変わらず。トイレットブレークから帰ってきたチチパスにはブーイングが浴びせられた。 判定に不満のキリオスはいら立ちを見せながらプレーは冷静。
第3セット第4ゲームでフォアハンドのウィナーを決めて最初のブレークに成功する。一方、フラストレーションを溜めるチチパスは、第5ゲームのゲームポイントでキリオスのアンダーサーブに対し、返球の意思を見せずボールを強打。コート後方のスコアボードに直撃し、チチパスは2度目の警告を取られポイントペナルティとなった。 リードを奪っているキリオスは、ラリー戦でチチパスを動かしながらミスを引き出し、ポイントを積み上げ、ブレークを許さず。6-3で第3セットを奪った。
勝利まであと1セットとしたキリオスは、第4セット第1ゲームで0-40とブレークチャンスを握ったものの、これをものにできない。さらに、第7ゲームではチチパスの2本のダブルフォールトからブレークポイントを握ったが、ここも生かすことができず。 流れが悪い中、第8ゲームでチチパスの強烈なショットが決まり0-40とピンチを迎えたが、エース級のサーブを次々と決めて5連続ポイントでチチパスにリードを許さない。第10ゲームでも30-40とセットポイントを握られたが、これをしのぎ切ると、再びタイブレークへ。 互いに集中力を増す中、先にチチパスがフォアハンドのアプローチショットをミスしミニブレークを許したが、すぐさまミニブレーク。だが、8-7で最後はキリオスのドロップショットをチチパスが返球できず。接戦をものにし、2016年大会以来6年ぶりのベスト16入りを果たした。
この試合、キリオスは61本のウィナーを決めるなどファーストサービスが入った時に81パーセントの確率でポイントを獲得。第1セットをタイブレークの末に落とすも、その後の第2・第3セットを連取し、勝利に王手をかける。迎えた第4セット、互いにサービスキープが続くもタイブレークを制し、3時間17分でチチパスを破った。
試合後インタビュー
「ローラーコースターのような試合。でも、起こったことすべてを除けば、とてもいいプレーができたと思う。ハードワークとグラスでのプレーが報われたようで、本当にうれしいよ」
また、試合中に苛立ちを見せたチチパスについて次のように言及している。
「自分が今日何をしたのかが分からない。彼に対しては何もしていないような気がする。彼に対して攻撃的だったとは思っていない。彼の顔めがけてボールを打ったわけでもないしね。今日の試合では彼に対する怒りはない。彼がコート外のボックス席にボールを打ったとき、彼は怒っていたんだと思う。再び僕に負けたりすると、明らかに怒りが湧いてくるだろうから」
一方、チチパス選手は下記のように答えました。
「今日は自分のテニスを楽しめた。外の雰囲気も楽しめた。試合をコントロールしながら、戦い方、解決策を見出そうとする姿勢を楽しめたよ」と語った。
また、試合中に苛立ちを見せたチチパスはキリオスへの怒りを露わにしている。
「彼のテニスが僕たちのスポーツにもたらすものは好きだよ。彼はとても変わっている。それは悪いことではない。でも、彼との試合で彼があんなふうに振る舞ったことは一度もなかったと思う。常にしゃべり続け、文句を言い続ける。僕たちはテニスをするためにいるんだ。他の人と会話したり、対話したりするためにいるのではない」
「それはある意味、本当に愚かなこと。レフェリーが決めたことなんだからね。どうやったら彼の考えを変えられるんだ、という感じだ。これじゃダメなんだ。彼はテニスをするためにそこにいる。そういうことがまかり通るのを見るのは悔しい」
「彼は常にいじめている。相手をいじめているんだ。僕はいじめっ子が好きではない。他人を貶めるような人は好きではないね。彼は性格的にいいところもある。でも、とても邪悪な面も持っていて、それが露呈すると周りの人たちを傷つけたり、悪くしたりすることがある」
試合内容
第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第25シードのミオミル・キツマノビッチ(セルビア)を6-0 6-3 6-4で倒し
試合後インタビュー
「前の試合同様にいいスタートだった。キツマノビッチのプレーはよくわかっている。何度も一緒に練習してきた。グラスコートは彼のプレーが一番合うサーフェスではない。僕にはいいゲームプランがあり、何をすべきかわかっていた。やはり試合のスタートがいいと試合を優位に進められる。素晴らしい第1セットだったし、そのレベルを最後まで維持できた。とても満足しているよ」 ラファエル・ナダル(スペイン)は外出しないようにしていると言った。君はコロナ対策にマスクをするなど、どんなことをしている? 「テニスの練習場、会場に長時間滞在して、それ以外は家族と部屋にいる。外出はしたが、あまり積極的には出ないようにしている。大会前に少し街を見て回ったんだ。過度に気にし過ぎないようにしたい。健康に気をつけて、大会に集中して戦い続けるだけだ。風邪を引いてしまうだろうかと、普段から基本的に考えていない。この2年間の経験を考えると、用心するのに越したことはないが」 ATPは今シーズン後半から、オフコートコーチングを導入すると発表したが、どう思う? 「僕の意見は2通りある。どちらの主張も理解できる。テニスの特徴の一つが、コートでは独りで戦い、自分で試合に勝つための良い方法を見つけなければいけないこと。長年その形でやってきた。でも、それと同時にほとんどの試合で実際コーチングが行われているのも周知の事実。だからコーチングを公式に認めることは理解できるし、どちらかと言うと賛成だ。どうせ、実際には行われているのだから、公式に認めればいい。もちろん、どのタイミングでコーチングを認めるかなど、ルールは必要になる。実際にうまくいくかどうかは、わからない。女子テニスではオンコートコーチングが行われてきた。今回導入するものは少し形が違うが、選手とコーチがどんな会話を交わしているのか、見るのは視聴者にとっても僕らにとってもかなり興味深いものだった。見ているファンにとっては面白いはずだ。だが、選手とコーチにとっては会話のプライバシーを守る意味ではマイナスかもしれない。テレビでその会話を見ている者が、相手選手のコーチに内容を伝えることも可能になる。その面では難しい問題になる。コーチと選手の間のプロとしての意見交換は、2人だけの間に留めるべきもの。初めての試みだから、どう折り合いをつけるか見てみたい。うまくいくかどうか、みてみよう」
回戦の相手、ティム・ファン ライトホフェン(オランダ)はどんな印象? 「今大会のプレーも、オランダで優勝したときのプレーもチェックした。今大会で話題になっている選手の一人だ。特にグラスコートシーズンでは今年、まだ1試合しか負けていない。ランキングがそれほど高くない選手にしては、素晴らしい成績だ。スヘルトーヘンボスの決勝ではダニール・メドベージェフ(ロシア)をいとも簡単に倒した。彼のコーチ、イゴール・セーブリングをよく知っているんだ。彼の母がセルビア人でもあり、彼自身は僕と同世代でジュニアの大会を一緒に戦ってきたんだ。この前も少し話した。ティムのことはそこまでよく知らないが、この数試合と同じようにいいプレーができればいい」 まだ対戦したことのない選手と戦うのは、どんなもの? 「当然、初対戦はいつだって難しい。しかも、相手は失うものが何もない。彼のプレースタイルがわからないから、試合の中で対応していかなければならない。事前に情報を集めて、戦術面でも準備が必要だ」 かつては君も彼と同じような立場だった。若く、無名でテレビで見たような選手と対戦するときがあったはずだ。そのときの気持ちを思い出せる? 「選手はみんなその立場を経験している。一つずつ階段を登っていくんだ。いつかは、初めてウインブルドンのセンターコートでプレーする日が来る。彼にとって、僕と初めての対戦もそうだ。決勝の舞台でメドベージェフに対してあれだけ素晴らしいプレーができるのだから、自信があるのだろう。大きな舞台でも問題なくプレーできるようだ。もちろんグランドスラムは5セットマッチだから、他のツアーの試合とは異なる。彼のプレースタイルはこのサーフェスによく合っている。ビッグサーブがあり、片手打ちのバックハンド、スライスもうまく織り交ぜる、オールラウンドプレーヤーだ。早めにラリーを終わらせることも、じっくりラリーをすることも、ネットに出ることもできる。大きなステージでプレーするのを楽しみにしているだろうし、失うものが何もない。まだ若く、キャリアをスタートさせたばかりだ。この勝ち上がりを夢見心地で楽しんでいるはずだ。彼はこれから素晴らしいキャリアを送るだろう」 次の試合では、ウインブルドンで初めて1週目の日曜日に試合をすることになるが、どう思う? 「他のグランドスラムは日曜日も試合が組まれているから、ウインブルドンでも日曜日に試合ができるようになって良かった。この変更には賛成だ。今大会はいくつか変更が導入されたことに結構驚いている。大会が始まる前にセンターコートで練習するという貴重な機会を与えてもらったが、この変更には反対だ。ディフェンディング・チャンピオンが月曜日の初戦でセンターコートに立つ前に、他の選手にそのチャンスが与えられるとは思ってもみなかった。でも、ミドルサンデーにプレーするのには賛成だよ」 でも、ウインブルドンは他のグランドスラムと違う部分があるからこそ、特別だと思うが。 「まだ他の大会と違う部分は残っているよ。(自分のウェアを指さしながら)まだみんな白いウェアを着ているじゃないか。この伝統は変わらないんじゃないか? この大会とクラブがいくつかの変化を許容したことはいいことだと思う。選手やファン、大会を支える地域や社会が望むなら変えるべきだろうからね。オールホワイトの伝統を今も守っていることは素晴らしいと思う。センターコートに広告をまったく入れないことも素晴らしい伝統で、世界的に見ても珍しい。今年大きな変化があったが、今後どうなるかはわからない。ウインブルドンは伝統を重んじるし、もし変化が必要でも、熟考を重ねてから判断するはずだ」
今回はウィンブルドン第1回戦のアルカラス選手 vs ストルフ選手の試合を見ていきます。
両選手の試合前コンディション
アルカラス選手は全仏オープン後、芝での前哨戦には出場していませんでした。
大会前の会見で「芝でプレーするのは簡単ではないし、ウィンブルドン前の大会に出場できなかったから今週はタフになりそうだ」と語っています。
一方のストルフ選手は身長193センチのビッグサーバーです。32歳のベテランで、ウィンブルドンは過去3回戦進出が最高成績です。
試合内容
一般的に芝ではビッグサーバーが有利です。アルカラス選手はストルフ選手のビッグサーブに苦しむことになります。
第1セット第2ゲームでアルカラス選手はブレークポイントを迎えます。しかし、ここで取りきることができませんでした。そして続く第3ゲームでストルフ選手にブレークを許し、4-6で第1セットを失います。
第2セットではストルフ選手が追い込まれる場面もありましたが、時速220キロに迫るビッグサーブを武器に、窮地を凌いでいきます。
しかし、アルカラス選手も第2セット中盤からサーブの入りがよくなってきました。中々アルカラス選手のサービスゲームをブレークできないストルフ選手。そのまま試合は平行線を辿ります。
5-6のストルフ選手のサービスゲームにて、15-40とセットポイントを握られるピンチを迎えます。アルカラス選手にリターンエースを決められ、第2セットはアルカラス選手が7-5で取り返します。
第3セットに入っても両者譲らず、ゲームは動きません。そんな中、第7ゲームでようやくゲームが動きます。ストルフ選手が僅かなチャンスを逃さずにブレークに成功。6-4で第3セットを奪います。
追い込まれたアルカラス選手は、第4セット第2ゲーム、第8ゲームとチャンスを作りますが、あと1本が奪えません。それでも自分のサービスゲームでは危なげなくキープし続け、タイブレークへ突入します。
両選手1本ずつミニブレークを奪い合い、迎えた7ポイント目。アルカラス選手はついにミニブレークに成功します。そこからアルカラス選手の流れとなり、6-3のセットポイントを迎えます。最後はサーブ&ボレーを仕掛けたストルフ選手に、バックハンドのパッシングショットを決めて7-6(3)で第4セットを奪い、勝負は最終セットへ。
最終セットは、互いにブレークポイントを与えずにキープを続けていきます。第7ゲーム、ストルフ選手のサービスゲームでアルカラス選手は30-40とブレークポイントを握りましたが、サービスポイントで凌がれてしまいます。
そんな中、第9ゲームのデュースでストルフ選手がサーブ&ボレーを失敗し、再びアルカラス選手にブレークチャンス。続くポイントでアルカラス選手はリスクを背負ってフォアハンドをクロスに強打します。これが決まり、アルカラス選手はブレークに成功。アルカラス選手から5-4で迎えたサービング・フォー・ザ・マッチをキープし、4時間近いフルセットの逆転勝ちを果たしました。
試合後インタビュー
アルカラス選手は試合後に、「芝生の上でのプレーはとても美しい。4時間近い素晴らしい試合を楽しめた。でも、芝でのレベルをもう少し上げないとね。経験が浅いので改善していきたい」と勝利したものの、まだまだ改善の余地があるとコメントしました。
クレーでは「次世代ナダル」とも言われるアルカラス選手ですが、芝での活躍も今後期待できますね。
イギリス・ロンドンで開催中のウィンブルドン選手権、1回戦からシナー選手とワウリンカ選手の対決。
非常に注目度の高い組み合わせですが、今回は2人の試合内容に関して見ていきます。
試合内容
男子シングルス1回戦、第10シードのシナー選手とワイルドカードで出場した元世界ランク3位、現世界ランク267位のワウリンカ選手の好カード。
試合序盤は両者譲らない展開が続きました。両者ともにファーストサーブの確率は低かったものの、セカンドサーブのコントロールに優れ、サービスキープが続きました。
試合が動いたのは、第1セットの第8ゲームでした。ワウリンカ選手がバックハンドでミスをすると、シナー選手がチャンスを逃さず、最初のブレークに成功します。
ところが、ブレーク後の大事なシナー選手のサービスゲームである第9ゲームにて、今度はシナー選手がミスをしてワウリンカ選手がブレークバックに成功します。
そのままタイブレークに突入するかと思われましたが、第12ゲームでワウリンカ選手がダブルフォールトで窮地に立たされます。1度は何とか防ぎましたが、2度目のセットポイントでバックハンドをネットにかけて第1セットは7-5でシナー選手が奪いました。
第2セットは互いにブレークポイントを握り合うシーソーゲームが続きます。第3ゲームにてワウリンカ選手がブレークに成功すると、サービスキープを続けてそのまま6-4で第2セットを取り返します。
第3セットでは、シナー選手がゾーンに入ります。シナー選手のミスが格段に減り、ワウリンカ選手にプレッシャーをかけていきます。そして第3セットで1度ブレークに成功し、6-3でセットを奪います。
第4セットでもシナー選手の高い集中力が続きました。2度のブレークに成功し、6-2でセットを奪い、試合時間2時間41分、セットカウント3-1でウィンブルドン初勝利を手にしました。
試合後インタビュー
試合後のインタビューにおいて、シナー選手は「芝は僕が最も苦手とするサーフェス」と発言しました。
確かに、サーフェスが異なると動き方やサーブの使い方が変わりますからね。
一方、昨年は初戦敗退となったウィンブルドンでの初勝利に関しては、「今日の自分のパフォーマンスには満足しているよ。とてもタフな相手との厳しい試合だった。僕にとって芝のメインドローで初めて勝ったことは、すごく意味のあることなんだ。特別な瞬間だったね」と語りました。
一方のワウリンカ選手は次のように語りました。
「ポジティブなこともあるが今は起こったことに満足というより、がっかりしている。継続して鍛え続ける必要があると思う。自信を持ちたいので、そのためには勝利が必要だ。ポジティブでいなければならない」
「悔しさがあるのは、今の自分がどのレベルいるか分かっているからで、今日は試合中に自分が期待していたようなものがまったく出せなかった。だから自分自身に対してすごくフラストレーションがある。もう一度練習に戻り、自分を信頼し続ける以外に選択肢はない」
「自分がやろうとしていることを続け、練習で改善し続け、今はいくつかの勝利を手に入れる必要があると思う」
まとめ
シナー選手はウィンブルドン初勝利、おめでとうございます。2019年から「期待の新人」と言われ、注目を集めてきました。そんな中、ウィンブルドンでは昨年は初戦敗退と結果を残せていませんでした。インタビューでも発言がありました通り、芝はシナー選手の得意なサーフェスではないですが、そんな芝でも徐々に勝てるテニスを出来つつあります。
一方のワウリンカ選手は、小さな勝ちを積み重ねて自信を取り戻すことの重要性を認識しているとのこと。元世界ランク3位でGS3勝という輝かしい実績のワウリンカ選手ですが、高望みすることなく、現在の自分の置かれている状況を冷静に客観視しています。それでいて、まだまだ上昇志向を持ち続けてひたむきにテニスに向き合ってることがわかります。
引き続き両者の活躍に目が離せません。
今大会には、西岡選手とダニエル太郎選手が出場していました。
同じ日本人として応援もしていました。非常に残念ではありますが、男子日本人の試合に関して振り返ってみましょう。
西岡選手 vs ルースブオリ選手
世界ランキング101位で挑んだ西岡良仁選手。1回戦の相手は同49位のルースブオリ選手でした。
西岡選手のコンディションは万全ではありませんでした。前哨戦を風邪のために欠場しています。「(風邪が)治ったのは2日前ぐらい」とインタビューでも述べています。
西岡選手は試合序盤から、トップスピンのフォアハンドやフラット系のバックハンド、スライスなどを織り交ぜ、ルースブオリ選手相手にポイントを獲得していきます。
ところが、第1セットの第6ゲームの40-0の場面で流れが変わります。フォアハンドのミスによりブレークされると、第8ゲームも落として第1セットを2-6で奪われます。
続く 第2セット、西岡選手は積極的にネットに出ます。しかし、ルースブオリ選手の対応力が優れていました。第6ゲームで先にブレークを許すと、第8ゲームでもフォアハンドのミスが続きます。2度のブレークを許し、第2セットも2-6と奪われます。
勝負の第3セット、西岡選手は様々なショットにより揺さぶりをかけます。フォアハンドのループボール、バックハンドの速いテンポ攻撃でルースブオリ選手を崩しにかかります。
第3ゲームではブレークポイントこそ逃したものの、徐々にリズムを取り戻します。
第7ゲームでこの試合初めてブレークに成功します。直後のサービスゲームも0-30とプレッシャーのかかる場面でしたが、危なげながらキープします。
続くサービング・フォー・ザ・セットとなった第10ゲームもブレークポイントを防いで6-4とし、1セットを奪い返しました。
西岡選手の流れとなった第4セット、長いラリーでルースブオリ選手のミスを誘い、得点を重ねます。一方、ルースブオリ選手はショートポイントで決めてきます。互いに一歩も譲らずサービスキープが第9ゲームまで続きます。迎えた第10ゲーム、ルースブオリ選手のアグレッシブな攻めを守り切れず、15-40とします。なんとかデュースに持ち込むも、4度目のマッチポイントでバックハンドのミスによりブレークを許し、敗退。
結果は西岡選手から2-6、2-6、6-4、4-6でした。後半は盛り返し、いいプレーをしていただけに残念な結果となりました。逆に言うと、悪いコンディションの中でも、これだけのテニスができたということなので、今後の西岡選手の活躍に期待したいですね。
ダニエル太郎選手 vs バエス選手
世界118位のダニエル太郎選手と同35位で第31シードのセバスチャン・バエス選手の対決。2人は初対戦です。
ダニエル選手は4年ぶり4度目の出場となる今大会で、ウィンブルドン初勝利を狙っていました。
一方のバエス選手はウィンブルドン初出場。前哨戦のATP250マヨルカ大会では2回戦敗退という結果でした。
ともに赤土を得意とするストローカーであり、芝を得意とはしていません。
ダニエル選手は第4ゲームでチャンスを握ったものの、バエズ選手も高い確率でファーストサーブを入れ、フォアハンドでの攻撃を軸に流れを掴ませません。バエス選手は身長170センチと小柄な選手であり、サーブは決して速くはありませんが、この日はダニエル選手の返球率が低かったです。
第9ゲームで試合が動きました。ダニエル選手は、バエズ選手のネットプレーやストロークでの粘りを前に0-40と追い込まれます。サービスエースで1本返すものの、続くポイントを落として、この試合最初のブレークを許します。直後の大事なリターンゲームにおいて、バエズ選手のミスによりダニエル選手はブレークバックのチャンスを得ます。しかし、バエズ選手は守りに入らず、アグレッシブなテニスをしかけてサービスキープ。ダニエル選手は4-6で第1セットを落とします。
第2セットでは、序盤で2回ものブレークを許して1-4とリードを広げられます。第6ゲームでブレークバックをするものの、4-6で奪われて2セットダウンとします。
残りのない第3セット、ダニエル選手はネットプレーやアングルショットで揺さぶります。しかし、互いに1ブレークして迎えたセット終盤の第11ゲームで、ダニエル選手はブレークを許してしまいます。バエズ選手のサービング・フォー・ザ・マッチとなった第12ゲームをブレークできず、4-6、4-6、5-7の2時間21分で初戦敗退となりました。
バエス選手は、早いテンポ、逆回転がかかったショット、確実なサーブなどで、ダニエル選手のミスを誘った印象でした。
ウィンブルドン初勝利を挙げたバエズ選手は、2回戦でゴファン選手と対戦します。
男子シングルスドロー
ジョコビッチ選手とナダル選手は別山になりましたね。
ジョコビッチ山はシナー選手やルード選手が調子がいいので注目です!
一方のナダル山は、アリアシム選手、シャポバロフ選手、ルーネ選手に個人的に注目しています。
欠場・棄権した選手
例年出場しているのに、ウィンブルドン選手権に欠場した選手がいます。
まずは第1シードのメドベージェフ選手。ウクライナ侵攻を背景にした、ロシア選手の出場禁止措置によって出場できませんでした。世界No.1の選手が出場しないことにより、今大会はジョコビッチ選手がNo.1シードとなっております。
次に、第2シードのズべレフ選手も怪我で欠場です。ズべレフ選手の怪我に関しては別記事でも書きましたが、復帰には暫く時間がかかりそうですね…。
1973年にATPが世界ランクを導入してから、上位2選手がウィンブルドンに出ないのは初ということです。因みに四大大会に対象を広げると、1999年の全豪オープン以来です。
ドロー表には掲載があるけれども、棄権により出場しない選手が何人か出てしまいました。
チリッチ選手とベレッティー二選手は、コロナ陽性反応が出たことにより、泣く泣く棄権…。
両選手ともに、芝には非常に強い選手です。特にベレッティー二選手は前哨戦でも優勝しており、絶好調だっただけに本人も悔しいと思います。
まとめ
有力選手が多数欠場・棄権することとなったウィンブルドン選手権。しかも、ATPポイントが付与されないという異例の事態…。
そんな中、ビッグ3と呼ばれるジョコビッチ選手、ナダル選手、マレー選手は出場します。
また、ルード選手、チチパス選手、ルーネ選手など、勢いある若手も多く出場します。
ウィンブルドンのタイトルを手にする選手は誰なのか、寝不足の日々が続きます!笑